第71回カンヌ国際映画祭最高賞 パルムドール受賞「万引き家族」を観て考えたこと

先日友人と休日の朝から「万引き家族」を観てきました。映画を観にきている人の多くは年配の方ばかりで意外と朝ということもあり客足はそれほど多くはなかったです。(田舎の映画館なので日曜日でないと人がこないというのもあるのでしょうか?)いつもだと洋画のSFを観にいくのが映画館の醍醐味だろと言わんばかりに観に行くことが多い一方で邦画は映画館で観なくてもDVDやアマゾンビデオで観ればいいじゃないかと考えていました。そんな考えを覆して、2000円近く払って映画を観てよかったなと思えた作品でもありました。「これからどのような未来が待っているのだろう」と観ているものが一定の方向性を持った答えを導けるのですが「はっきりとした物語の終わりがわからない」のです。

 

物語の内容についてではなく、映画の中の関連キーワードから考えたことを書いていきます。

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「絆の万引き」

この言葉はテーマにもなる映画の核心となるものです。商品の万引きは店からすると許されるべき行為ではないことです。そのような物の万引きとは別に家族自体が万引きして構成された集団であるということ。

現代社会では血が繋がっているから家族になる、(血が繋がっていない場合もたくさんありますが。)これは当たり前のことですが必ずしも家族であることが幸せであることの裏返しではないことに考える点がありました。

 

映画の中でも「生みたくて産んだわけではない」と言われて虐待を受けていた「ゆり(じゅり、りん)」も万引き家族の中での方が明らかに幸せな生活を送っていました。また、家族で海に行っていたシーンで初枝が家族のことについて「血が繋がっていない分期待しないでいい」というような発言をしていたことからも、親自身も子どもに対して変な期待をせずに育てていくことがあるべき姿ですが、どうしても世間体があって親は自分の子どもに対して期待を抱いてしまう。それは周りよりもよくいてほしいというよりかは普通でいてほしいという思いもあるのかもしれません。

 

血が繋がっていることで家族にならざるを得ない状況になる。本来であればそれは喜ばしいことではあるのですが、期待がある分、子どもにとって悲しい未来を招いてしまうのでしょう。最後のシーンもそんな悲しみを含んだ未来がゆりの外を見る眼差しから考えさせられました。

 

 

この他にもう1度観る価値があると思える要素があったのでぜひ一度は映画館に足を運んでもらいたいと思いました。

 

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