家庭裁判所調査官って!?小説「あしたの君へ 柚月裕子」を読んで
皆さんは家庭裁判所調査官という職業を知っているでしょうか。
裁判官みたいな仕事なのかな?
弁護士のように法律を使った仕事なんだろう?
というようなイメージを持っている方も多いと思われます。
ぼくも大学生時代に児童の心理について関わっていきたいと思っていた頃もあったの
で、家庭裁判所調査官について調べることもありました。かなり法律的な側面と児童心
理について勉強をしないといけないということもあり、目指そうとは思わなかったので
すが・・・。たまたま手にとった
「あしたの君へ」
という本が家庭裁判所調査官を目指す若者の話だったので、
その家庭裁判所調査官についてと本の感想も述べたいと思います。
1.家庭裁判所調査官の仕事って
家庭裁判所調査官は主に「家事事件」と「少年事件」についての事件の調査を行います。
家事事件とは
家庭内で起こる紛争による事件、たとえば、離婚や相続の問題などがあげられます。 家事事件では、家族の間に起こる感情の対立などが原因となることが多いことから、家庭裁判所調査官には単に法律的な観点だけでなく、それらの感情的な対立を理解し、解消することが求められます。実際の調査では、争っている当事者や親の争いに巻き込まれている子どもと面接を行い、問題の原因や背景を調査します。そして、必要であれば社会福祉や医療といった関係機関と連携をとり、当事者やその子どもにとって最善の解決方法を検討します。http://careergarden.jp/kateisaibanshochousakan/work/
少年事件とは
少年事件とは、下記の少年が起こした非行による事件です。・犯罪少年:罪を犯した14歳以上20歳未満の少年
・触法少年:実質的には罪を犯しているが、その行為の時14歳未満であったため、刑法上、罪を犯したことにはならないとされている少年
・ぐ犯少年:20歳未満で,保護者の正当な監督に従わないなどの不良行為があり、その性格や環境からみて、将来罪を犯すおそれのある少年少年事件の場合、少年がどうして犯罪を起こしたのか、どのような環境で育てられてきたのか、どういった考え方をもっているのかなど少年を理解することが必要になります。調査では、少年とその保護者と面談をしたり、少年の内面にある資質や傾向を調査するために心理テストなどを行います。また、「少年鑑別所」「保護観察所」「児童相談所」などの関係機関と連携をとり、少年が将来更生するために必要な方法を検討します。 http://careergarden.jp/kateisaibanshochousakan/work/
単に家族関係や当事者、被害者の話を間に受けるだけではなく、その言葉の背景まで
気を使っていかなければいけないのです。
というのも、彼ら家庭裁判所調査官が下した調査結果というものが裁判官が下す審判に
大いに影響を与えるからです。
保護観察といって家庭の中で見守りになることもありますし、児童福祉法のもとで施設
に行くこともあります。
また、一時的に少年院で矯正を目指すこともあり、調査官の判断が加害者やその家族の
人生を変えかねないというところにも、この仕事の責任の大きさがわかるのではないでしょうか。
2.あしたの君へを読んで
この本は5つの物語から構成されており、最初から最後まで一続きになっていないこと
からショートストーリーのような感じもしますが、構成人物は全く同じなので、主人公
が一つの話ごとに成長していく姿を感じることができました。
個人的に良かった話がストーカー行為をした少年の話でした。
この話のキーになるのは、母親の完璧主義とそれに影響を受ける少年という関係性です。
審判が下されるまで残り時間がほとんどない中、
面接では母子ともに問題のないような話や、
主人公に対して人の良い人たちであったが、
ある「友人」の話がきっかけで、
今まで登場することのなかった父親との話から急展開していったからですね。
3.さいごに
主人公が仕事を終えてひと段落したセリフの中の、
「(省略)・・・人間のかけている部分を認めるところから、
相手への理解がはじまるんじゃないかなあ」
という一節に相手への理解、違う価値観への理解など、まず自分が認めることから他者
理解につながるんだということを思わせてくれました。
自分の中の常識じゃ理解できないことって多々ありますよね。
ぼくも、全部じゃなくて一部を認めることから他者理解をしていきたいです。